アディダスの取り組み

Blog

UltraBOOST Uncaged Parley【ウルトラブースト アンケージド】(アディダスHPより)

先日、アディダスジャパン(株)SEA(Social&Environmental Affairs)/グループ法務本部 マネージャー 奈良朋美さんのお話をお伺いできる機会に恵まれました。

奈良さんは、国内外の製造委託先工場の労働環境改善に取り組んでいらっしゃるとのことで、アディダスで取り組んでいる「現代奴隷(Modern Slavery)」をテーマにお話くださいました。(現代奴隷については別記事『現代奴隷とは』を参照ください)

約20年前、サッカーボールの縫製に児童労働が

アディダスはSDGsに関して、SDGsが採択される前から取り組んでいたといいますが、それは約20年前、サッカーボールの縫製に児童労働が関わっていることが問題になったことがきっかけでした。業界として向き合わざるを得なかった背景があります。

「SDGsはグローバル企業だけの問題じゃないのか」
「本当に私たちが取り組む問題なのか」

という疑問もよく耳にします。

業界として問題に直面をすると取り組まざるを得ない、変わらざるを得ませんが、その「問題が明るみになること」を待っているということはおかしな話です。失敗した業界があるのであれば、そこから学ぶ。その姿勢が大事なのでは、とおっしゃっていました。

そして、それは、グローバル企業だけではなく、もちろんサプライチェーンまで広がり、原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、販売、配送まで「どこで何をつかっているのか」「その材料はどこで調達されるのか」といったことに意識が向けられています。

実は、日本も問題がある国に列挙されている

問題のある国はどこか?としたときには、日本や韓国もあがってくるそうです。日本でも約29万人の人が奴隷的労働下に置かれているとされています。(*1)

例えば「技能実習生」が事実上の外国人労働者として働き、日本の産業を下支えしていますが、この実習制度の現場でも、人権侵害が生じていると指摘されているのです(もちろん、すべての企業がそうであるとは申しませんし、誠実な企業も存在します)

実際にあまり公開されていない、したくない情報だとは思いますが、日本の企業でも、外国人実習生を受け入れている生活環境がひどい状態であった写真を見せてくださいました。開発途上国では狭い部屋に何人もの大家族がすし詰め状態で生活している様子をみたりしますが、そのまんまでした。日本とは思えない状況です。しかし、そこから実習生の受入企業との話し合いを進め、かなり快適な環境に改善されている様子でした。

アディダスとしての取り組みとして、さすが、先駆者として視野が広いと感じたことは、いざ、日本で技能実習生として働こう、としたとき、母国における仲介をする送り出し機関に高額を支払っているケースがある点に着目されていること。

その送り出し機関の整備にも取り組もうとしているということが、とても印象的でした。結局、問題を根本から解決しようとしたら、すべての人を巻き込むこと、本来自分たちが直接関わるところではないところまで影響を与え、改善する必要があると考えているところに感動しました。

正しいことだけでは広まらない、消費者に認めてもらう”カッコよさ”

海洋保護と海洋破壊防止を目指す団体「Parley for the Oceans(パーレイ・フォー・ザ・オーシャンズ)」とのパートナーシップと、ペットボトルから繊維をつくる技術で、海洋のゴミとして集められた11個のペットボトルからシューズができる「パーレイシリーズ」を発売するそうです。

そのシューズは語りたい、圧倒的な付加価値を持ち、「正しいことだけでは広まらない、消費者に認めてもらう”カッコよさ”」が重要!と力強くおっしゃっていました。

アディダスの企業理念は

Through sport, we have the power to change lives.
スポーツを通して、私たちには人々の人生を変える力があります。

正直、パーレイシリーズはちょっとお高めだとおっしゃっていたように記憶しています。でも「カッコいいから買った。実はこれって社会貢献につながっているんだよね」というような、社会貢献には興味はないけど、カッコいいスポーツウェアには興味がある人もいるかもしれない。そんな人が、スポーツウェアを通して、環境に意識が向くようになったり、「なんだ、いい商品を意識して買うだけでいいんじゃん」と思うようになることは、大きな社会の変革だと思いました。

決して、SDGsありき、SDGs起点で「何ができるのか」を考える必要はなく、企業とはそもそも社会的な存在です。そもそも自社として、何を理念にし、社会に、顧客に、どんなインパクトを与えたいと思っていたのか。そこに立ち返る重要性を改めて教えていただきました。

 

アディダスのサステナビリティレポート(2016)はこちら

出典:(*1)Global Slavery Index 2016(ウォークフリー財団)

 

タイトルとURLをコピーしました