子どもと考えるSDGs

オススメ書籍

子どもと一緒にSDGsについて考えたり、学びを深めたいんだけれど、どうしたらいいだろうか?と親御さんからご質問をいただいたので、一緒に考えてみようと思います。
よりよいものにしたいので、もし他にいいアイデアがあったら(こんなふうに一緒に学んでいるよ!など)ぜひぜひお教えください。
(対象は自分で調べることや考えることができるであろう中学生以上を想定していますが、個人個人でできることが異なると思いますので様々なレベルで取り上げています)

とっても大事な大前提として

これは私自身が大事にしていることなのですが「一緒に学ぶ」という姿勢です。
(それはもちろん持っている、当たり前のことだよ、という方はこの部分は読み飛ばしていただいて結構です。)

親子という関係性上(もしくは教師と生徒、講師と受講生という立場でも)どうしても、どこか「親(講師)が答えを知っていて、子ども(受講生)を答えに導く」ということに陥りやすいと感じています。
私たちにその意識がなくとも、子ども(受講生)の側が「教えてもらえるもの」としている場合もあるかと思います。学校教育のすべてを批判する気はありませんが、現行で行われている学校教育の側面を考えると致し方のない部分かな、と思います。
その上で、今回はその枠を超えて「一緒に学ぶ」ということを大事にしたいのです。

なぜなら、少し強めに言うと、SDGsに対する絶対の答えはこの世にないから。誰も答えを持っていないから。

正確に言うと、もちろん、本などに述べられているような答えの部分はあるとは思います。だけれど、同時に私はこのことをいつも思うのです。

今年になって買い物袋(ビニール袋)が有料化になり、なんだか一気にプラスチックが悪者になりました。プラスチックは環境に悪いんでしょう?自然に還ることがないから埋め立ててもそのままで、プラスチックごみが海を汚して、2050年には魚の量よりプラスチックごみのほうが多くなるって言われているでしょう?…そうですよね、おっしゃるとおりです。(参照:後述『プラスチックの現実と未来へのアイデア』)

その一方で、プラスチックが生まれたとき、プラスチックが世の中に広がってきたときはどんな反応だったかご存知ですか?

世界で初めて100%人工的なプラスチックが創り出されたのは1907年。そこから「実は『環境保護のためにその利用が増えてきた』経緯もある」のです。その理由が2つ。「1つは、野生動物の保護」。装飾品として使われていた「象牙やウミガメの甲羅をプラスチック材料で代用することで、ゾウやウミガメなどをできるだけ殺さずにすむ」というもの。そして「もう1つは、どのみち廃棄物になるしかなかった製油所からの副産物を(中略)経済的な価値に転換するという、廃棄物の有効活用」の側面。(出典:『プラスチック汚染とは何か』枝廣淳子著)そこから、ご存知の通り、家電製品や車、病院などの医療の世界でもなくてはならない存在になりました。

つまり、一世紀前にはもてはやされる存在だったプラスチックが、時を経て、悪者になっているわけです。

このことから、2つ言えることがあると思っています。ひとつは、物質そのものはいいも悪いもなく、結局使う私たち人間の問題だということ。そしてもうひとつは「“正しい”や“正解”は変化する」ということ。

他にも、昔は当たり前だったけれど今ではNGになっていることは枚挙にいとまがありません。

だからこそ、私たちは今、正解を知っているわけでも、どこかに正解があるわけでもなく「何がベストなんだろうか?と考え、模索する」ことしかできないし、唯一の正解があるとしたら「考え、模索すること」が正解なんだろうと思っています。

だから、お子さんと一緒に、はもちろん、ご自身の中でもそれをし続けていただけたら嬉しいと思いますし、私自身も模索し続けていきたいと思っています。

初級編

さて、前置きが長くなりましたが…
一番のおすすめの本を挙げるとこちら。『SDGsの学びを深めるおすすめ書籍・映画』にも掲載していますがやはりこれが一番です。

未来を変える目標 SDGsアイデアブック

未来を変える目標 SDGsアイデアブック
著者:Think the Earth
出版社 : 紀伊國屋書店

帯にも「子どもから大人まで」と書かれていますが、まさに、大人にとっても学びがあり、子どもにもわかりやすく書かれていると思います。

ひとつのアイデアがひとつのゴールに紐付けされているだけではなく、たくさんのゴールに関連していることを示唆してくれていたり、まさにカードゲームで体験していただいた「ゴール同士のつながり」も感じていただけるかもしれません。

特におすすめなところが、途中「考えてみよう」というコラムもあります。それを一緒に考える、というのがとても素敵だと思います。

事象を学ぶだけでは一生かかっても追いきれないほどの情報が世の中にはあります。「なぜ」と「それをするとどうなる?」と考えることがSDGsの理解の促進のみならず、生きるチカラとなってくれるでしょう。

一緒に取り組むことで、むしろ、今の自分には思いつかないような子どものアイデアや考えに驚かされることもあるかもしれません。

世界がもし100人の村だったら

世界がもし100人の村だったら
著者:池田 香代子
出版社 : マガジンハウス

2001年に出版されているので、ご存知かもしれません。
絵本のようなかたちになっているのですが、いろんなテーマを繰り広げてくれているので、子どもと一緒に読んで、その後に具体的に考えていく、という助けになるでしょうし、その事実を知るだけでも子どもにとっては世界を知る一歩となってくれるでしょう。
大人としても字面だけを追うのではなく、少々子どもっぽすぎるかもしれませんが、例えば100個のブロックを持ってきて、丁寧に分けてみる…ということをすると視覚的に理解が進んで、その数字に改めてびっくりするかもしれません。

一方、以下は文字がメインで難しめですが、引き続き関心を持たれたら、おすすめです。

世界がもし100人の村だったら お金篇 たった1人の大金持ちと50人の貧しい村人たち

世界がもし100人の村だったら お金篇 たった1人の大金持ちと50人の貧しい村人たち
著者:池田 香代子
出版社 : マガジンハウス

富を再分配するだけでいろんな問題の解決に向かうことができる可能性…ということを提示してくれている『世界の富を再分配する30の方法』も目からウロコです。

買いものは投票なんだ

買いものは投票なんだ
著者:藤原ひろのぶ
出版社 : フォレスト出版

こちらは一気に絵本のようになってしまいますが、書かれてあることを鵜呑みにするのではなく考えられるのはやはり中学生以上かな、と思います。

地球上にいるほとんどの人が、モノを買って、つまり“買いもの”をして生活をしています。私たちは何気なく、モノを買って、つかって、生活をしているわけですが、それがどんなふうにつながってくるのか?今の当たり前の食品や製品が、昔はどうだったのかな?といったことに目を向けてくれる本です。

SDGsを考えるにあたって、時間軸を伸ばす、つまり今のことだけではなく、今の選択を続けた未来のことはもちろん、過去はどうだったのか?などに考えを及ぼすことが大切になります。

ある方がおっしゃっていたのですが、過去を振り返ることと未来を観ることは弓矢のようにつながっていて、矢を遠くに飛ばす、つまり遠くの未来をみようと思ったら、どれだけ弓をひくことができるか、つまり過去をどれだけ振り返ることができるかにかかっているそうです。これまでを振り返ることも、とても大切なことなのですね。

そして、企業として「これを売りたい」という思いから、売るには?と考えて、人気の俳優をつかってイメージCMを多用してみたり、様々なマーケティング活動を行っています。私たちがモノを買うから、企業はその商品が「売れる」としてどんどん広げていきます。

私たちはぼんやりしていると、ついついその商品がただ「安いから」という理由で、ただ「よく見るから、流行っているみたいだから」、ただ「好きな俳優さんがCMをしているから」という理由で購入したりします。もちろん、たまには好きな俳優さんがおすすめしている商品を購入して、幸せな気分になるのもとてもいいですよね。そして例えば海外の俳優さんの印象が強いですがもちろん日本の俳優さんの中にも、商品がどんな作られ方をしているかも含めてCMをしている方もいらっしゃいますね。

私たちも、意識してモノを購入して幸せな気持ちになるのか、何気なく買って消費しているのか…を自覚的になりたいなと思うのです。実は、そんな身近なことで、SDGsにつながるなんて…SDGsなんて気軽なんだな、と感じていただければと思います。

もっともっと余力があれば・・・

基本は私自身が学ぶために本を購入して読んでいるので、子どもと学ぶにはちょっと難しいかもしれないものや、私の本棚の中で、一見するとズバリSDGsについての本ではないように思われるけれどつながっている、ぜひオススメしたい本を挙げてみます。

幸せな人は「お金」と「働く」を知っている

幸せな人は「お金」と「働く」を知っている
著者:新井和宏
出版社 : イースト・プレス

私が持っている古い帯には【高校生が感動した魂の「お金」の授業】と、画像のように新しい帯には【人生を「お金」に振り回されないために】と書かれています。もともとは、高校生向けに行っていたお金の授業を書籍にまとめたもののようです。
「お金」と「働く」について、真剣に向き合ったり考えたりした方にとっては「そうそう、そうだよなぁ」ということが書かれているかと思うのですが、子どもと一緒に改めて「お金ってなんだろう?」と「働くってなんだろう?」と考えてみるのも、とても大事な一歩なのではないでしょうか。
著者の新井さんは今、「共感コミュニティ通貨eumo(ё)(ユーモ)」という新しい通貨を立ち上げ、これまでの「お金」の概念を覆す「共感資本社会の実現」を目指した取り組みをされているのも、おもしろいです。

ぼくは13歳 職業、兵士。―あなたが戦争のある村で生まれたら

ぼくは13歳 職業、兵士。―あなたが戦争のある村で生まれたら
著者:鬼丸 昌也
出版社 : 合同出版

ぼくらのアフリカに戦争がなくならないのはなぜ?
著者:小川 真吾
出版社 : 合同出版

2020年、第4回ジャパンSDGsアワード副本部長(外務大臣)賞を受賞した認定NPO法人テラ・ルネッサンスの創設者の鬼丸さんと、現理事長の小川さんの本です。私が初めて鬼丸さんの講演を聞いたのは2013年あたりでしょうか。私が社会貢献を単純に寄付をするだけではなく、自分の強みをもってできることとは?と広げて考えるきっかけになった団体です。

テラ・ルネッサンスは小・中・高校向けの講演も何万回と実施されてはいるのですが、正直、子どもがいきなり読むには、衝撃的な内容かもしれません。なので、これは大人に読んでいただきたいオススメかもしれません。そして2冊オススメしているのは「アフリカ?そんな遠い国の子どものことなんて意識が向かない。日本だって生きるのに厳しい子どもたちがいるのに…」というお声もごもっともなのですが、どうしてアフリカがそんな現状になっているのか?を小川さんの本で知っていただきたいからです。

私はテラ・ルネッサンスの講演を聞くまで、戦争は、宗教とか民族とか土地の関係で争っているんだろうと思い込んでいました。でも、事実は違いました。金・銀などの鉱物、綿花やゴム、油ヤシ、石油や石炭などの資源の奪い合いが大きな原因であり、他の国(主に先進国)が武器などを供給して起こってしまっている。そして、その資源はアフリカで消費されるのではなく輸出され、旨味を得ているのは主に先進国なのです。私たちが日常で使っている、パソコンや携帯などが原因で起こっているといっても過言ではないのです。

本を読むより話を聞きたいと思われた方は、テラ・ルネッサンスはオンラインでの講演もされているので、ぜひチェックしてみてください。
認定NPO法人テラ・ルネッサンス 直近のイベント紹介

プラスチックの現実と未来へのアイデア

プラスチックの現実と未来へのアイデア
著者:高田秀重
出版社 : 東京書籍

この記事の冒頭「とっても大事な前提として」でも少しお伝えした、プラスチックについての本です。正直、私も全部読んでいるわけではなく、パラパラと、気になったところを読む程度ですが、それでも、プラスチックがこれだけ悪者になっている背景を知ったり、最後に「今日からできるアクションリスト」なるものがあるのですが、それを見て「うぅ…これらを実現するには一筋縄ではいかないな」と思ってしまうほど、身の回りにプラスチックにあふれている現状を客観的に知ることができたように思っています。あと、これだけ溢れているプラスチックをやめるってどうしたらいいのよ?というところにも話が及んでいます。

最後に

いかがでしたでしょうか?

もし、ひとつでもピンとくるものがあれば、とてもうれしく思いますが、
うちの子どもには難しそう、もしくは簡単すぎる…うちの子は興味がなさそう…一緒にやってくれるかな?それが難しい…などいろいろ思われたかもしれませんね。

これも、私自身が大事にしていることなのですが、子どもにしても受講生にしても、こちらが一瞬でも「やらせよう」と思ったことはたいてい上手くいきません。こちらの「やらせよう」「考えさせよう」が透けてみえてしまい、その魂胆には乗らないぞ、と相手は頑なになってしまいます。もしくは「やらせようってことは答えがあるんでしょ?」と答えを待つような受け身になってしまいます。

なので、一番は「まずは自分自身が興味を持つこと」それができればクリアしたと言っても過言ではないかもしれません。

あなたがピンとくるものはありましたか?ちょっとこれを読んでみたいな、と思うものはありましたか?

もし何か「他にもこんな切り口で教えてほしい」というようなことがあれば、お問い合わせのフォームからでも結構です、ご連絡ください(その際電話番号は000などでOKです)。私の考えられる範囲ですが、一緒に考えていきましょう。

何もかもが不透明な時代ですが、それでも、これからを担ってくれる子どもたちに希望ある未来をつなげられるように。今、私にできることを。

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