現代奴隷とは

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(pexelsより。写真はイメージです)

先日、アディダスジャパン(株)奈良朋美さんの講演で、現代奴隷(Modern Slavery)に関する取り組みについてお話をお伺いしました。

現代奴隷(Modern Slavery)とは

ちなみに「現代奴隷」について、少し詳しく調べてみました。

「奴隷」と言われると、奴隷貿易としてアフリカ大陸からアメリカへ無理やり連れてこられたり、鎖でつながれていたり、リンカーンによる奴隷解放宣言といったようなことをイメージするかもしれません。そして、今現代には奴隷はもういないでしょ、と思われるかもしれません。

日本以外でも、アディダスの社内でも、そういう認識なところがあるそうで、社内教育を進めていらっしゃるそうです。

「〈現代奴隷制〉は、『暴力によって奴隷にされ、搾取という目的のために、自らの意志に反して拘束されている』と定義」(*1)されているそうです。「奴隷」というと難しく考えてしまいますが、意思とは関係なく過酷な状況で、また低賃金で労働を強制されている、などと考えると想像しやすいのではないでしょうか。

そして、現代でもまだまだ残っているとされ、現在も全世界で4580万人が奴隷的な労働の下にあり、インド、中国、パキスタン、バングラデシュ、ウズベキスタンなどの国に特に多いとされています。そしてそれらの国が安い労働力で商品を輸出している先は、残念ながら、欧米、オーストラリア、そして日本が挙げられています。(*2)

奴隷というと日本には関係ないような気がしますが、ウォークフリー財団(オーストラリア)の調査によると実は日本でも約29万人の人が奴隷的労働下に置かれているとされています。それは、性風俗産業や外国人の技能実習制度においてみられると言われています。

私たちは、自分が買うものを通じて奴隷制に手を染めている

グローバル市場にある商品において「製品を作り出す原材料は奴隷制に侵されている可能性が高い」(*3)と言われています。

例えば、コートジボワールのカカオ農園での労働であったり、バングラデシュ南部のエビ養殖場、ガーナの川で金の選別作業のために砂と泥を移送する作業などといったところで行われています。そして残念ながらそこには子どもの労働者(児童労働)である可能性もあります。

具体的な状況をみていきましょう。日本人が大好きなエビ。日本で消費されるエビの約80%はアジアの国々から輸入しています。タイ、中国、ベトナム、インドネシアといった国が並びますが、ここでは、バングラデシュで冷凍エビを米国や欧州に輸出する重要港湾都市・クルナというところで調査された結果です。(*3)

・クルナでエビ加工に携わる10人のうち9人の労働者が下請け業者の下で働いている
・そのほとんどが女性
・週に60〜80時間働くが正規雇用ではない。日雇い労働者
・しかし日給ではない
・クルナでは労働法が完璧に無視されていて、それが最低でも30年間続いている

そして

「エビ長者は、大きなホテルや御屋敷や町外れの大養殖場の所有者で、高級車も持っている」
「長者たちは養殖場の所有者で、手にした海外輸出許可証で直接、北米や欧州の会社と取引する」
「米国や欧州の〈お客さん〉が、工場を査察したがる」「そんな連中の意向を忖度する工場主は、自分の会社が出資する小さな工場が安全で清潔でいつでも査察を受けられる状態にあると請け合う」「もちろん、こういう小さな工場はお飾りである」
(上記カッコ内『環境破壊と現代奴隷制』凱風社 より引用)

そんなバングラデシュのエビ加工場で働く女性の現状です。エビの頭取りをし、加工するエビ1キロあたり3タカ(5セント)という低賃金で働いています。いわゆる出来高制ですが、就業後には重さをチェックされて、紙切れに仕上げた重さを記されます。

・仕上げたものより少なく記される
・紙切れをなくしたり、紙切れが濡れたりして読めなくなると支払われない
・1週間に1度の支払い
・現金の代わりに食べ物で支給(15タカ分のお米を与え、給料から20タカを引く)これは現場監督の副業
・日常的な暴力
・繁忙期には24時間労働

こんなことが、現代、今も行われているのです。

奴隷制が混入している証拠がはっきりしている製品

「私たちは消費者としてまた社会人として、大量の商品や清貧の中に微量の奴隷制の毒が混入しているという基本的事実とまず向き合わなければならない」と現代奴隷制を調査・研究 している社会学者ケビン・ベイルズは言います。

奴隷制が混入している証拠がはっきりしている製品には、例えば以下のようなものがあります。

カカオ・木綿・砂糖・木材・牛肉・トマト・レタス・リンゴなどの果物類・エビなどの魚介類・コーヒー・鉄鉱・鋼鉄・金・スズ・ダイヤモンドなどの宝石類・宝飾品・靴・スポーツ用品・衣類・花火・ロープ・敷物・絨毯・米・レンガ…

他にも、どの国で、どんな農作物やどんな製品に、現代奴隷や児童労働が含まれるのか、というのかを調べられる『Sweat & Toil 』というアプリがあります。

 

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「貧困」が〈現代奴隷〉と表裏一体

現代奴隷のことを調べていくと、狭義の意味での現代奴隷は、過去のものとそう変わりがなく感じられ、例えば貧しいから学校へ行けない家族の元へ「学校へ行かせてあげるから」と子ども連れ出し、労働下に置くといったことが生まれているようです。上記の、バングラデシュのエビ加工場で働く女性も、少しでも教育を受けていたら別の仕事もあるかもしれないけれど、結局教育を受けていないと他に仕事が見つからないから、とその状況に甘んじるしかないのです。

そして、広義の意味での現代奴隷としては、日本においても存在することを考えてみても、やはり貧困がつながることは明白です。

SDGsの17のゴールの中にある、貧困や飢餓、教育は密接に絡み合うと同時に、オセロのように、教育がひっくり返ると一緒に貧困や飢餓もクリアできる、といった側面があることを強く思います。

そして、その状況を、今すぐに、この瞬間から変えることは、個人にとっては難しく感じることかもしれません。今すぐ私たちができることは、盲目的に「じゃあもう商品を買わない」という選択をするのではなく、どこで、何が、どんなふうに現代奴隷につながっているのかを、少しでも一端を知り、企業が、そんなサプライチェーンと取引をしていないことを、消費者として目を光らせることが大切なのではないでしょうか。

 

(出典および参考文献)
*1:『現代奴隷制に終止符を!』ケビン ベイルズ (著) 凱風社より引用
*2:Global Slavery Index 2016(ウォークフリー財団)
*3:『環境破壊と現代奴隷制』ケビン ベイルズ (著) 凱風社より引用

 

 

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